ワイヤロープの点検と廃棄基準について

ワイヤロープと玉掛け用ワイヤロープの点検と廃棄についてご紹介いたします。

ワイヤロープの簡易点検

  • 形くずれ
  • 摩耗・腐食
  • 断線

玉掛け用ワイヤロープの簡易点検

  • ワイヤロープ本体部
  • アイ加工部

ワイヤロープの簡易点検

  • ワイヤーロープのシーブを多く通過する部分等を中心に、目視で損傷の状況をチェックする。
  • その損傷の状況をワイヤロープの損傷写真と比較する。

点検は次のステップにより行う。

  1. 形くずれ
  2. 摩耗、腐食
  3. 断線

どれか一つでも廃棄基準に達していれば、そのロープは廃棄する。

ステップ1 形くずれ
形くずれの部分をよく似た損傷写真と比べて見る。

素線の飛び出し

心のはみ出し

ストランドの落ち込み

ストランドの飛び出し

扁平

プラスキンク

マイナスキンク

うねり

ステップ2 摩耗・腐食
摩耗してロープの表面が光っている部分や、赤さびのある部分の油や汚れをよく拭いて、損傷写真と比べて見る。

摩耗

素線と素線の隙間がなくなったもの

腐食

ピッチングが発生してあばた状になったもの。

ステップ3 断線
目視により点検する。断線を発見したら、その周辺の油汚れをよく拭いて点検する。点検後はロープグリースを塗布しておく。

クラウン断線(山切れ)

ニップ断線(谷線)

ワイヤロープの点検、廃棄基準・廃棄例

ワイヤロープ本体部

点検
項目
点検方法 廃棄基準 廃棄例
断線 全長・全周にわたり断線の有無を点検する。ある場合は、山切れ・谷切れの状況を入念に点検し、断線本数を数える。 [クラウン断線(山切れ)の場合]
ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤロープの構成を確認して、表の断線数以上あるもの。

ワイヤロープ
の構成
1より当りの
可視断線数
6×24 9
6×37 10
6×Fi(25) 5
6×Fi(29) 6

[ニップ断線(谷切れ)の場合]
1本でもあるもの

クラウン断線(山切れ)
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ニップ断線(谷線)
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プラスキンク(よりの締まる方向のキンク)やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク)の有無を点検する。 局部的によりが詰まったり戻ったりして、キンクを発生したもの。 マイナスキンク
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プラスキンク
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局部的に押しつぶされた部分がないか点検する。 局部的な押しつぶしによる扁平があるもの。ノギスで短径と長径を測定した時に、短径/長径が、2/3以下になったもの。 つぶれ
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扁平
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表面の腐食の有無を点検する。あれば布地で拭いて取れる薄い錆か、表面に凹凸が生じているかを点検する。内部はスパイキなどでストランドを持ち上げて点検する。 腐食によって、素線表面にピッチングが生じて、あばた状になったもの。内部腐食によって素線が緩んだもの。 腐食
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全長・全周にわたり摩耗の状況を点検する。 素線と素線の隙間がなくなったもの。摩耗によって、直径の減少が公称径の5%を超えるもの。 摩耗
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うねりの有無を点検する。 著しくうねっているもの。又は、d1/dが4/3以上になったもの。らせん状。 うねり
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スト
ラン
ドの
飛び
出し

落ち
込み
ストランドの落ち込みや浮きがないか点検する。 ストランドの落ち込み・飛び出し・かご状のものがあるもの。 ストランドの飛び出し
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ストランドの落ち込み
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かご状
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きず 全長・全周にわたりきずの有無を点検する。 有害な欠陥が認められるもの。著しいきずを生じたもの。 きず
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素線の飛び出し
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心のはみ出し
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曲がり
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心鋼のはみ出し・曲がり・素線の飛び出し・テンパーカラーなどの有無を点検する。 心鋼のはみ出し・曲がり・テンパーカラーのあるもの。

アイ加工部

点検
項目
点検方法 廃棄基準 廃棄例



アイ部分にストランドなどの形くずれや扁平、ロープのずれなどがないか点検する。
ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。
●アイ頂点部で、著しく心鋼・繊維心がはみ出したもの。●アイ頂点部で、著しくつぶれを生じたもの。●アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの。加工していない部分の可視断線数に準じる。 繊維心のはみ出し
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アイスプライス:ストランドの抜け出しの兆候がないか点検する。
アイ圧縮止め:片端に凹みが生じたり、抜け出しの有無を点検する。抜け出しの点検は目視、マーキング等による。
ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。
●差し終わり部でストランドの抜け出しがあるもの。●片端に凹み、抜け出しのあるもの。 ストランドの抜け出し
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アイスプライス部の抜け出し。
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スリーブ
の変形
スリーブに変形、つぶれ、き裂および割れなどが発生していないか点検する。 スリーブの変形、つぶれ、き裂、割れ等があるもの。 変形・摩擦・き裂
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スリーブ
の摩耗
スリーブの摩耗状況を点検する。 スリーブが摩耗して、元の径の95%以下になったもの。
スリーブ
の腐食
腐食、きずなどが無いか点検する。 著しい腐食、きずが認められるもの。
付属
金具
変形・きず・き裂・摩耗および腐食等がないか、あればその程度を点検する。 ●曲がり、ねじれ、ゆがみ、当たり傷、切り欠ききず、き裂が認められるもの。
●摩耗量が元の寸法の10%を超えるもの。
●全体に腐食、または局部的に著しい腐食があるもの。

廃棄基準

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損傷の大きいロープや廃棄基準に達したロープは、使用しないで下さい。ロープの廃棄基準・更新基準は、その業種を管理・監督する各省庁により法的に決められていますので、日常点検の上、早めに取り替えて下さい。
(参考)日本クレーン協会の「ワイヤロープの簡易点検」による断線廃棄基準

  1. クラウン断線(山切れ)の場合、ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)及び30倍(約5ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤロープの構成を確認して、下表の断線数以上あれば廃棄する。
  2. ニップ断線(谷切れ)の場合、1本でもあれば廃棄する。

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ZよいとSよりをペアで使用している場合は、同時に取り替えて下さい。
使用期間が異なると、ロープの伸び量が異なり、荷のバランスが崩れます。

ワイヤーロープの構成 可視断線数
点検範囲
6d 30d
18×7 19×7 4 8
6×Fi(25) 5 10
6×WS(26) 5 10
6×P・WS(26) 5 10
34×7 35×7 5 10
6×Fi(29) 6 11
6×WS(31) 6 13
6×WS(36) 7 14
6×P・WS(36) 7 14
6×SeS(37) 8 16
6×WS(41) 9 18
6×37 10 19
4×F(40)※ 2 4
3×F(40) 2 4

・IWRCのものも同様に扱う。

※ストランドの素線本数39及び42を含む。