ワイヤロープの点検と廃棄基準について
ワイヤロープと玉掛け用ワイヤロープの点検と廃棄についてご紹介いたします。
ワイヤロープの簡易点検
- 形くずれ
- 摩耗・腐食
- 断線
玉掛け用ワイヤロープの簡易点検
- ワイヤロープ本体部
- アイ加工部
- ワイヤロープのシーブを多く通過する部分等を中心に、目視で損傷の状況をチェックする。
- その損傷の状況をワイヤロープの損傷写真と比較する。
点検は次のステップにより行う。
- 形くずれ
- 摩耗、腐食
- 断線
どれか一つでも廃棄基準に達していれば、そのロープは廃棄する。
素線の飛び出し
心のはみ出し
ストランドの落ち込み
ストランドの飛び出し
扁平
プラスキンク
マイナスキンク
うねり
摩耗
素線と素線の隙間がなくなったもの
腐食
ピッチングが発生してあばた状になったもの。
クラウン断線(山切れ)
ニップ断線(谷線)
点検 項目 |
点検方法 | 廃棄基準 | 廃棄例 | ||||||||||
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断線 | 全長・全周にわたり断線の有無を点検する。ある場合は、山切れ・谷切れの状況を入念に点検し、断線本数を数える。 | [クラウン断線(山切れ)の場合] ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤロープの構成を確認して、表の断線数以上あるもの。
[ニップ断線(谷切れ)の場合] |
クラウン断線(山切れ) ニップ断線(谷線) |
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キ ン ク |
プラスキンク(よりの締まる方向のキンク)やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク)の有無を点検する。 | 局部的によりが詰まったり戻ったりして、キンクを発生したもの。 | マイナスキンク プラスキンク |
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つ ぶ れ ・ 扁 平 |
局部的に押しつぶされた部分がないか点検する。 | 局部的な押しつぶしによる扁平があるもの。ノギスで短径と長径を測定した時に、短径/長径が、2/3以下になったもの。 | つぶれ 扁平 |
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腐 食 ・ 錆 |
表面の腐食の有無を点検する。あれば布地で拭いて取れる薄い錆か、表面に凹凸が生じているかを点検する。内部はスパイキなどでストランドを持ち上げて点検する。 | 腐食によって、素線表面にピッチングが生じて、あばた状になったもの。内部腐食によって素線が緩んだもの。 | 腐食 |
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摩 耗 |
全長・全周にわたり摩耗の状況を点検する。 | 素線と素線の隙間がなくなったもの。摩耗によって、直径の減少が公称径の5%を超えるもの。 | 摩耗 |
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う ね り |
うねりの有無を点検する。 | 著しくうねっているもの。又は、d1/dが4/3以上になったもの。らせん状。 | うねり |
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スト ラン ドの 飛び 出し ・ 落ち 込み |
ストランドの落ち込みや浮きがないか点検する。 | ストランドの落ち込み・飛び出し・かご状のものがあるもの。 | ストランドの飛び出し ストランドの落ち込み かご状 |
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きず | 全長・全周にわたりきずの有無を点検する。 | 有害な欠陥が認められるもの。著しいきずを生じたもの。 | きず 素線の飛び出し 心のはみ出し 曲がり |
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そ の 他 |
心鋼のはみ出し・曲がり・素線の飛び出し・テンパーカラーなどの有無を点検する。 | 心鋼のはみ出し・曲がり・テンパーカラーのあるもの。 |
点検 項目 |
点検方法 | 廃棄基準 | 廃棄例 |
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形 く ず れ |
アイ部分にストランドなどの形くずれや扁平、ロープのずれなどがないか点検する。 ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。 |
●アイ頂点部で、著しく心鋼・繊維心がはみ出したもの。●アイ頂点部で、著しくつぶれを生じたもの。●アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの。加工していない部分の可視断線数に準じる。 | 繊維心のはみ出し |
断 線 |
アイスプライス:ストランドの抜け出しの兆候がないか点検する。 アイ圧縮止め:片端に凹みが生じたり、抜け出しの有無を点検する。抜け出しの点検は目視、マーキング等による。 ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ付根部分の断線の有無を点検する。 |
●差し終わり部でストランドの抜け出しがあるもの。●片端に凹み、抜け出しのあるもの。 | ストランドの抜け出し アイスプライス部の抜け出し。 |
スリーブ の変形 |
スリーブに変形、つぶれ、き裂および割れなどが発生していないか点検する。 | スリーブの変形、つぶれ、き裂、割れ等があるもの。 | 変形・摩擦・き裂 |
スリーブ の摩耗 |
スリーブの摩耗状況を点検する。 | スリーブが摩耗して、元の径の95%以下になったもの。 | |
スリーブ の腐食 |
腐食、きずなどが無いか点検する。 | 著しい腐食、きずが認められるもの。 | |
付属 金具 |
変形・きず・き裂・摩耗および腐食等がないか、あればその程度を点検する。 | ●曲がり、ねじれ、ゆがみ、当たり傷、切り欠ききず、き裂が認められるもの。 ●摩耗量が元の寸法の10%を超えるもの。 ●全体に腐食、または局部的に著しい腐食があるもの。 |
損傷の大きいロープや廃棄基準に達したロープは、使用しないで下さい。ロープの廃棄基準・更新基準は、その業種を管理・監督する各省庁により法的に決められていますので、日常点検の上、早めに取り替えて下さい。
(参考)日本クレーン協会の「ワイヤロープの簡易点検」による断線廃棄基準
- クラウン断線(山切れ)の場合、ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)及び30倍(約5ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤロープの構成を確認して、下表の断線数以上あれば廃棄する。
- ニップ断線(谷切れ)の場合、1本でもあれば廃棄する。
ZよいとSよりをペアで使用している場合は、同時に取り替えて下さい。
使用期間が異なると、ロープの伸び量が異なり、荷のバランスが崩れます。
ワイヤロープの構成 | 可視断線数 | |
---|---|---|
点検範囲 | ||
6d | 30d | |
18×7 19×7 | 4 | 8 |
6×Fi(25) | 5 | 10 |
6×WS(26) | 5 | 10 |
6×P・WS(26) | 5 | 10 |
34×7 35×7 | 5 | 10 |
6×Fi(29) | 6 | 11 |
6×WS(31) | 6 | 13 |
6×WS(36) | 7 | 14 |
6×P・WS(36) | 7 | 14 |
6×SeS(37) | 8 | 16 |
6×WS(41) | 9 | 18 |
6×37 | 10 | 19 |
4×F(40)※ | 2 | 4 |
3×F(40) | 2 | 4 |
・IWRCのものも同様に扱う。
※ストランドの素線本数39及び42を含む。