シャックルの安全な取り扱い方

荷役作業にはJIS規格製品をおすすめします。

正しい使い方 誤った使い方
1、使用荷重 p53-1
SWL(使用荷重)以下で使用。用途、荷重にあったシャックル(種類・サイズ)を使用して下さい。
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規定のSWL(使用荷重)を越えて使用しますと、シャックルが破損などをおこし、落下など、事故の原因となります。
2、シャックルのつなぎ方 p53-2
シャックルとシャックルを継ぐときは、クラウン(本体R部)で継いで下さい。
p53-3
ボルトどうしの継ぎでは、安定が悪くシャックルが斜め吊りになったり、場合によっては衝撃荷重が働くことがあり、破損の原因となります。
3、荷おこし
反転
移動
p53-4
シャックルには、荷重が縦方向に加わるようにして下さい。
p53-5
シャックルは縦方向に荷重をかけるように設計されていますので、横荷重を加えないでください。商品かボルトに傷が生じ、破損の原因となります。
4、ボルトの回転防止 p53-6
シャックルの取り付けは、常にボルト側を静索(ワイヤロープが動かない側)にして下さい。
p53-7
ロープが移動すると、ボルトが回転し、増し締めされて取り外しが困難になったり、緩んで外れる恐れがあります。
5、ワイヤロープとの取り合い p53-8
シャックルに取り付けるワイヤロープは、必ず重ならないようにして下さい。
p53-9
ワイヤロープが重なった取り付け方をすると、ワイヤロープが擦れ合ったり、ストランドが潰れたりして、ワイヤロープが損傷します。重なる場合は、バウシャックルを使用して下さい。

シャックル使用上の注意事項

ゆるみ

シャックルを使用される前には、必ずネジまたは、ナットが締め切った状態であることを確認の上お使い下さい。(ボルトナットタイプの場合は、割ピンが割られていることを確認の上お使い下さい。)

危険行為

投下や放り投げたり、ハンマー等でたたいたり、重量物等の下敷きにしないでください。シャックルが曲がったり、当たりキズが生じたりして破損の原因になります。

アークスストライク(アーク溶接によるアースきず)の防止と溶接の禁止

シャックルを品物に溶接したり、シャックルの付近で溶接作業を行わないでください。アークストライクの発生や、スパッターが付着しないよう配慮してください。誤った使い方をすると材質変化が起こり、もろくなり、割れ・亀裂等が発生し破壊し易くなります。これらの現象が複合して強度が低下し破損の原因となります。

寒冷地での取り扱い

  1. 北海道などの寒冷地においては、鋼の低温せい性によって、衝撃値が著しく低下しますので、衝撃をかけないように慎重に取り扱って下さい。
  2. 作業終了後は、長時間外気にさらすようなことをしないで下さい。
  3. 夜間は、つり荷から取り外して、所定の場所に保管してください。

シャックルの点検要領及び廃棄基準

点検要領 廃棄基準
1 p54-2アークストライクがないか点検して下さい。 規定のSWL(使用荷重)を越えて使用しますと、シャックルが破損などをおこし、落下など、事故の原因となります。
2 p54-3

  1. 本体及びボルト・ピンが変形していないか点検して下さい。
  2. 本体及びボルト・ピンを組み立てた状態で点検してください。
  3. 変形の著しいものは、ノギス、パスなどで計測し変形率を求めてください。
  1. ボルト及びピンの変形しているものは廃棄してください。
  2. ネジが完全に入らないものや割ピンの入らないものは廃棄してください。
  3. 変形率が元の寸法の8%を超えるものは廃棄して下さい。火造りおよび溶接手直しは絶対に行わないでください。
3 p54-4当たり傷、切り欠き、亀裂がないか点検して下さい。 当たり傷、切り欠きがあるものはグラインダ等で滑らかに削り取り、その深さが元の寸法の5%を超えるものは廃棄して下さい。
手直し後、磁粉探傷検査(マグナフラックス)または浸透探傷(カラーチェック)検査を行って下さい。亀裂があるものは廃棄して下さい。
4 p54-5クラウン及びボルトが摩耗していないか点検して下さい。 摩耗率が元の径の10%を超えるものは廃棄して下さい。
点検 保管方法
  • シャックルを点検する時は、欠陥の発見を容易にする為、錆や油脂等の付着物を灯油または洗油で綺麗に洗浄して下さい。
  • シャックルは一定の期間を定めて磁粉探勝(マグナフラックス)を行って下さい。
  • 使用後のシャックルは、塵芥や錆などの付着物を綺麗に取り除いて、ねじ部には油脂を塗布し、保管してください。
  • 風雨にさらされないように保管してください。
  • 地面に直接触れないように保管してください。
  • 本体とボルトは必ず組立て保管してください。
  • 積み上げないように保管してください。(あたりきずを生じさせないため、荷崩れを起こさせないため)